切れ角UPをしてみよう(チルトの移植)

このコーナをはじめる前に一言。
半端な気持ちで切れ角アップを狙うな!!
です。
プライベートで作業を行うにはあまりにも大変です。
全身筋肉痛を覚悟してください。


AE86の重ステには2種類のギヤ比の設定があります。
一つがAPEX系、もう一つがGTVです。
ハンドルのロックtoロック回転数は
APEX等(APEX、GT、XL、SE、SR)の3.5回転に対してGTVは3回転なのです。
ちなみにAPEX等のパワステは3.5回転ですが送り量がGTVと共通です。
ハンドル半回転分アペックス等はラックストロークが長い事になります。(GTV130mm/その他152mm)
しかしAPEX系、GTV共にステアリング切れ角は同じなのです。
その半回転のつじつまをナックルアーム(タイロッドが繋がれている部品)で合わせているのです。

品番 品名 適用型式 値段
45611-12913 ステアリングナックルアームRH AE8# XL、SE、SR、GT、APX
45611-12917 ステアリングナックルアームRH AE8# XL、SE、SR、GT、APX(W/POWER STEERING)
AE86 GTV
4000円
45612-12913 ステアリングナックルアームLH AE8# XL、SE、SR、GT、APX
45612-12917 ステアリングナックルアームLH AE8# XL、SE、SR、GT、APX(W/POWER STEERING)
AE86 GTV
4000円

品番からも解るようにGTVとAPEXのナックルアームが共通だと解ります。
ということはAPEX等のパワステからAPEXの重ステにすると必然的に切れ角が上がることになります。

では実際にステアリングラックを交換してみましょう。



まず重ステのラックとパワステのラックでは取り付け部の径が違います。
運転席側は同じなのですが助手席側の径が重ステでは約32mm、パワステでは56mmとなっているのです。



しかも取り付ける部分はエンジンが乗っているフロントクロスメンバであるためエンジンを下ろしていない限りメンバ交換は不可能です。
そこでその径を無理やり合わせるために径変換アダプタを作成します。
ちなみにフロントクロスメンバを新品で買うという方は下の表を参考にしてください。

これがその変換アダプタです。
これを重ステのラックに固定し車両に取り付けます。



また、ラックの径が違うだけでなく重ステとパワステではステアりんシャフトとの接合ジョイント部の径も違います。
重ステは約14mm、パワステは約17.5mmとなっているのです。
この部品を交換しなくてはラックは付いてもステアリングをつなげることが出来ないので注意してください。

結合部のジョイントはヨークと呼ばれている部品で値段と品番は下のようになっています。
また、これらを交換するついでにブーツの交換もするほうが懸命だと思います。

品名 品番 値段 備考
ヨーク 45209-32010 5100
ブーツ 45535-12011 1010 右(運転席側)
ブーツ 45536-12011 1560 左(助手席側)
クランプ 90461-10273 180 2個使用(ネジ無し)
クリップ 90467-18003 80 2個使用
フロントクロスメンバ 51201-12270 重ステ用
ステアリングギアボックス 45510-12110 重ステ

ラックとヨークを取り付けたとき、さらに違う部分が発覚しました。
なんとステアリングシャフトの長さが足りないではありませんか!!
というわけでこの作業もここまで・・・というわけにはいかないのが86乗りの悲しいサガです。
解体屋から86GTを1台もらってきてしまいました。
そしてなんとこの車が重ステ!!ではないですか。

その車からステアリングシャフトを抜き取り私の車に移植することにしました。
しかもついでにチルト機構を移植してしまおうという考えです。
GTの重ステはチルト機構が無いため身長や足の長さによってステアリングが足に当たってしまいます。

本来であれば
チルト無し(パワステあり)だったら、チルト付き(パワステあり)を。
チルト無し(パワステなし)だったら、チルト付き(パワステなし)を。
という組み合わせが常套手段なのですが。
どおしてもこの組み合わせを準備できない場合にはシャフトをすべて分解し、再組付けを行うことで対応できてしまいます。
ただし、この部品自体重要保安部品であることをお忘れなく。

まずはステアリングシャフトとキーシリンダ、ウィンカレバーを分解します。
ステアリングシャフト下端のネジ2本を外し次にキーシリンダを外します。
キーシリンダは上部の2本のねじと下部の特殊ネジを外すと取れます。
この特殊ネジはプライヤ等で強くはさむことで外すことが出来ます。
次にキーシリンダの抜け防止用Cリングを抜きます。
通常はこれで簡単に抜けるはずですが・・・。

しかし!!
はじめにぶつかった難点がシャフトが抜けない!!
どうもキーシリンダのベアリングがシャフトとかじってしまっているようです。
シャフトをハンマーで叩き無理やり抜きました。
おかげで全身筋肉痛です。
下の写真が苦労の跡です。何回叩いたのでしょうか・・・。
1時間ほど叩き続けました。

ここで・・・追記です(04.02.25)
友人のAPEXを切れ角UPした時にはうまくベアリングが抜けましたので・・・。
そのときの写真を追記します。
ベアリングを外すにはまずはCリングを外します。
このときあまり無理をして外しますと・・・私のようにベアリングがかじってしまいシャフトからキーシリンダーが抜けなくなってしまいますので注意してください。



キーシリンダーを抜くとこのようになります。



シャフトの長さだけではなく色々なところが違うと言うことがこの時解ってきました。
写真を参照してください。こんなに違うのです。



右の写真は重ステとパワステのシャフトです。
上がパワステ、下が重ステです。
ステアリングシャフトを分割するときは互いに写真の位置までシャフトが刺さっています。
重ステのシャフトが抜けなかった理由がわかります。
ちなみにシャフト写真の右方向がステアリング側です。

次に左の写真はステアリングシャフトが入っていた部分です。
左がパワステ、右が重ステです。
重ステのほうはシャフトを抜くのにハンマーで叩いていたため変形しています。
かじってしまったので・・・。


友人の時にはもっと綺麗にいきましたので・・・UPします。
綺麗に抜けています。
この状態になれば簡単なのですが・・・。



右のほうの写真で上のシャフトが重ステ、下がパワステです。

ラックへの連結部ですがこの用に長さが違うのです。



実際にパワステのチルト機構と重ステシャフトを組み付けたものがこのようになります。



しっかり延長できています。



これに重ステ用ステアリングヨークを取り付け、ラックアダプタとステアリングラックを現車に取り付けます。
これでついに完成!!と来るわけです。
おかげさまでタイヤハウス内にタイヤが擦れてしまうほど切れててしまいます。
もっとマイナスオフセットのホイルやスペーサをかまして逃げないとバーストしてしまいそうな・・・。

でももう2度とステアリングシャフトは分解しないと誓う今日この頃です。

パワステから重ステに交換したことによる利点としては
切れ角が上がり今までスピンしていた領域でも姿勢制御できるようになります。
それとこの車に一番重要な軽量化も出来てしまうのです。
オーバーハングの重量が減るということは回頭性の良さにつながりますので皆さんもやってみてはどうですか?
ちなみにステアリングの重さはGTVと同じになりますので日々の筋トレが必要です。


まとめ
簡単に必要な部品をまとめてみました。

AE86 GT、GT-APEX(パワステ)からの切れ角UPの場合
準備するものとして
重ステ用フロントクロスメンバ (51201-12270)
GT、GT-APEX用重ステ ステアリングラック (45510-12110)
GT-APEX用重ステ チルト付ステアリングシャフト
もしくは 
GT、GTV用重ステ ステアリングシャフト


GTVからの切れ角UPの場合
GT、GT-APEX用重ステ ステアリングラック (45510-12110)
チルト機構を付加するのであれば
GT-APEX用重ステ チルト付ステアリングシャフト


GT、GT-APEX(重ステ)からの切れ角UPの場合
GT、GT-APEXパワステ用もしくはGTV用ナックルアーム左右 (45611-12917、45612-12917)
チルト機構を付加するのであれば
GT-APEX用重ステ チルト付ステアリングシャフト


ということになります。

それ以外で組み合わせる場合にはスペーサ等を自作する必要が出てきます。

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